日水製薬株式会社

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02簡便・迅速な微生物検査法の導入効果

誰でも短期間に「信頼できる検査」が可能に

大橋氏簡便・迅速法では、特別な知識や手技がなくても、安定した検査結果が得られます。

小林氏検査を実施する以上、どれだけ担当者が熟練の技術を持っていたとしても、人為的なエラー、特にコンタミの可能性をゼロにすることはできません。簡便・迅速法では、培地調製などの作業が不要になるので、コンタミリスクを低減できることは間違いありません。

千田氏当社では、微生物検査について専門的な教育を受けていないスタッフが配属されることもあるため、簡便・迅速法の「専門的な知識や技術がなくても安定した検査結果が得られる」「短期間の教育で、安定した検査ができるようになる」という点は、非常に大きなメリットであると実感しています。

簡便・迅速法ではコンタミリスクを低減

大橋氏検査業務では、個人の力量のバラツキをなくすことも重要な課題です。

小林氏その取り組みの一環として、当社では品質管理部に配属された順に、日水製薬などが主催する外部精度管理に参加しています。サーベイに参加した人は、次に品質管理部に配属された人の指導を担当します。他者に教えることで、検査に関する理解や経験がさらに深まることに期待しています。

千田氏当社では毎月、外部の検査機関に検査委託したサンプルを、各工場の品質管理課にも送付し、工場間で検査結果のバラツキがないか確認しています。「コラボ検査」と称しています。ちなみに現在、コラボ検査の結果などを参考に、各工場の検査方法の統一化を進めるか検討しているところです。

陽性が出た際の対応方針を事前に決めておく

大橋氏簡便・迅速法をより効果的に活用するために考慮する点はありますか。

小林氏新しい簡便・迅速法を採用する場合、それまでの検査法との相関性について十分に検証する必要があります。コンパクトドライに変更する際には膨大な検証を行いました。また、スタッフの微生物や検査に対する知識の問題もあります。当社の場合、微生物制御に関して問題が生じた際には、顕微鏡観察やグラム染色、コロニーから釣菌して同定するなどの微生物操作を行うことがあります。そのため、品質管理部に配属されたスタッフは、まずは顕微鏡観察の技術や、オープンな環境でのバーナーを使用した無菌操作の技術など基礎的な微生物取扱い技術を身につけることにしています。

コンパクトドライ導入の際は、従来の検査法 との相関性についても検証

千田氏簡便・迅速法は大きなメリットが得られる一方で、検査結果を有効活用するために考慮すべき点もあると思います。例えば、一般的な寒天培地であれば、コロニーの性状で「どのような菌が多いか」などの情報が得られますが、簡便・迅速法では、そうした菌叢まではわかりません。
 また、例えば公定法の大腸菌検査であれば、推定試験や確定試験など具体的なプロトコルが示されています。簡便・迅速法の場合も同様に、各社であらかじめ「陽性や疑陽性が出た場合の対応」を決めておく必要があります。

大橋氏食品の微生物検査は、時代や環境のニーズに応じて、絶えず変化が求められます。簡便・迅速な検査法は、HACCP制度化や人手不足などの課題に対応するうえで、大きな効果を発揮していることが、よく分かりました。
 簡便・迅速法の特徴を正しく理解することで、より効果的・効率的に活用できるようになると考えています。また、自社の検査法や検査体制について、対外的な透明性を確保する(取引先や消費者に明確に説明できるようにする)ことは、結果的に「検査室の信頼性確保」にもつながっていきます。今後も簡便・迅速法の導入効果を最大限に発揮していただきたいと思います。

コンパクトドライの現場から“妥当性確認された簡便・迅速な微生物検査法”は、人手不足、環境対応などにも貢献

 HACCPの構築・運用・維持管理に際しては、原材料や最終製品、中間製品、製造環境などの微生物検査の結果を、衛生管理や工程管理の改善に活用することが重要です。もちろん、新製品の開発などでも微生物検査の結果は必要です。そのため、近年は、多くの食品施設において、微生物検査の検体数が増加する傾向にあります。
 しかし、従来から行われている公定法などの微生物検査は、「培地の調製などに手間がかかる」「培養に時間を要する」「検査担当者の技量によって結果にバラツキが生じる可能性がある」など、様々な課題も指摘されています。さらに加えて、最近は検査室でも人手不足の問題や、“働き方改革”への対応、廃棄物削減による環境負荷の低減などが求められており、検査業務の省力化、効率化、時短が求められてきています。また、食品衛生法で定められた規格への適合性を確認するための検査は公定法で行わなければなりませんが、自主検査であれば必ずしも公定法にこだわる必要はありません。
 そうした背景から、HACCP(工程管理)の検証などでは、人手や時間をかけずに、短時間で、誰でも同じ結果が得られる“簡便・迅速な代替法”――特に海外の第三者機関(AOAC、AFNOR、MicroVal、NordValなど)による妥当性確認を受けた簡便・迅速な検査キットを有効活用することは、有効な選択肢の一つとして位置づけられています。